2024年3月24日日曜日

他人(ひと)に頼む事の意味。

 みなさまごきげんよう( ´∀`)

シーズンインだというのに悪天候が続いておりますな。


3月21日でコレですよ、、桜咲くのかホントに。

雪じゃなければ雨が続くし、ほんと単車乗りにとっては困ったチャンです。


でと、作業は95年式のゼファー、C7ですね。

リアブレーキが効きっぱなしになるという事で入庫です。

所謂ブレーキ引きずりですが、実はブレーキ引きずってる車両結構多いです。

引きずりと一言で言っても程度によって修理も変わってきますので。

たとえば引きずってるからとピストンの揉み出しを試みる。

それで直るケースの場合、ほんと軽微な引きずりであって

オーナーがよっぽど気を遣って点検してないと気づかないレベルだったりします。

ローターが焼けたり押し歩きが重いレベルでしたら素直にOHが早道。


その辺はキャリパー外して見ると大体判断がつきます。

人は見た目で判断しちゃいけませんが、バイクは見た目で判断してOK。

常に整備されている車両は基本的に綺麗です。

この錆具合からするともうフルOHが望ましいですな。


パッドピンも錆びてますね。

当然、パッドのスライドに引っかかりがあれば引きずりの原因になります。

同じ理屈で片押しキャリパーの場合スライドピンの固着による引きずりも多いです。

車体装着状態でキャリパーが動かないようではバツだと思ってOKでしょう。

あとはパッドのベースプレートの反りも引きずりの原因です。

この辺は熱の入れ方にもよりますが

安っすいワケわかんねーパッドとか使ってるとありがちです。


ディスクブレーキのピストンの戻りはオイルシールのロールバック頼りなのは周知の通り。

これが柔軟性を失っていれば勿論ピストンの戻りが悪くなりますし

意外と外側に装着されているダストシール溝が腐食で太り

ダストシールがせり出してきて悪さをしていたりもします。

実はコレが一番多かったりするんですが、、

ダストシールは正常であっても結構フリクションがあるもので

レーシングキャリパーがダストシールレスなのもその為です。

ちなみに私は個人的好みにてダストシールを外しちゃったり

レーシングキャリパーであるCP2696を使用したりしていますが

メンテ頻度が低い一般的な車両には全くお勧めできませんですよ。


キャリパーピストンの状態も勿論大切です。

特にダストの多いパッドを使用していると、露出しているピストン部にダストが積層

それが固着し、いずれは発錆してピストンを押し戻した際に

ピストンシールやダストシールを傷めます。

いやいや俺ぁそんなにピストン戻さないぜって?

ローターが減っていてパッドが出過ぎている場合

ある程度ピストンを押し戻さないとキャリパー外れませんよね。


マスターシリンダーはリターンポートの詰まりを要チェック。

クッソ細い経路なので整備不良だと詰まりがち=フルードが戻らないので引きずります。

マスターがダメなケースは長期放置車両に多いですな。


色々と分解して検証した結果、これだけの部品を交換する事になりまして。

過剰整備気味ですが、95年式という車齢を考えると

新品部品が出るうちにしっかり交換しておきましょうってなところですね。

まぁブレーキ関係に関しては汎用性が高くてあまり部品には困らないわけですが

世の中何があるかわかりませんしね。

全てリフレッシュという安心を買って頂こうと。

そもそもブレーキをケチるなんて命知らずにも程があるわけで

個人的には性能や耐久性がハッキリしない安物をブレーキに投入したり

整備代をケチるコスト重視の考え方には反吐しか出ませんし

たとえ値段が高くなっても耐久性や性能でキッチリ回収すれば良いという考えなので

安物パーツで安く修理してくださいというような額面しか見えないお客様は

ハッキリ言って作業をお断りさせて頂いております。

そもそも、安くお願いしますってのは部品の単価か工賃を下げる以外に不可能なわけで

ワケわんねー部品を組みたくなければ

手間を省いて得るものまで省くような事もしたくないんですよ。


パッドはデイトナのゴールデンパッドχでいきます。

キャリパーピストン、各シール関係とマスターのピストンおよびカップ

パッドピンとクリップ、Oリングとブリーダープラグも新品。


カップはご覧のように痩せちゃってます。

こういうのは数を見てないと新品と比較しない限りわかりにくいですよね。

で、どこがダメかっていう判断も結局全バラしないとわからない。

特に整備履歴のハッキリしない古い車両の場合は

不具合箇所はフルOHを前提に考えておいた方が良いでしょう。

基本的に、その場しのぎっていうのは不可能だし

その場しのぎの方が間違いなく高くつくので。


そんなワケでリアブレーキ周りはスッキリ一新して

当たり前ですがブレーキ引きずりもバッチリ解消しまして。


お次はオイルとエレメントの交換。

サクッと終わらせてレッツお渡しですよ🎶

だがしかし、、

エレメント下部にあるはずのスプリングとワッシャーが無い。。



本来であれば92022のワッシャーと92081のスプリングが入っています。

これがクランクケースにエレメントを押し付ける役割を果たしているワケで

これが無いとオイルはエレメントを殆ど介さずに流れていってしまいます。

位置的にエレメント交換時に廃油受けに落ちる事もないし

交換時に組み忘れたとしても、部品トレーにこれらが残るはずなんですがね。


本来であればこうです。

私が思うに、あくまで想像でしかありませんがオイルとエレメント交換が終わって

部品トレーにスプリングとワッシャーが残ってたんじゃなかろうかと。

あぁ、組み忘れちゃったよと。

でもさっき入れたオイルをまた抜いて新しいオイル入れてちゃ損だ。

よし、次回ちゃんとスプリングとワッシャー入れようと。

しかしその次回は来ずに車両は現オーナーに売却。

現オーナーはそんな事知る由もなく部品が足りないままエレメントを交換し続けると。

そりゃあ最初からそうなってればそれが正しいと思っちゃいますよね。

ウチとしてはたかがスプリングとワッシャーを送料かけて再発注して

その間バイクはオイル抜いたまま静置。

早い話がコレ赤字なんですよ。

私は基本的にオイル交換くらい自分でやってもらってOKという考えです。

でもこういう事があるので、バイク屋さんでのオイル交換も意義があるとも思います。

自身でオイル交換するメリットって実はコストじゃないんです。

1番のメリットはオイルの状態を自分で確認できる事。

そして作業として自分でやったという確実性。

これくらいですよね。

廃油処理パックを買ったり、手あるいは自宅の床を汚す事を思うとコスト高なんです。

ドレンボルトのネジ山潰したなんて事もザラにありますし。

オイル交換で高い事言われたと。

それはどうなんだ?

オイル交換の工賃なんて1,000円とか2,000円の世界です。

では価格差はどこに出るかといえばオイルそのもの。

そりゃプロとして水に毛が生えたくらいの

1,000kmほどでシャバシャバになるオイルをお客様の大切なバイクに入れません。

コストと性能維持の両面で色んなオイルをテストして取り扱いオイルを決めています。

つまり安い工賃で多くの事を保証するわけです。

必要な部品が実は入っていなかった。

それはバラさないとわからないし

バラしても本来の姿を知らない人間にはわからない。

気づいていない大事なことに気づいてもらえる。

これがプロに依頼する1番のメリットじゃないかなと。

長くプライベーターとして何でも自分でやってきた私自身がそう思うんですよね。

自分で自分が気づいていなかった事に気づく事は無いんです。

自分の為の第三者としてのバイク屋と思えば

たまには自分でやってる作業をお願いするのも良いんじゃないかなと。

自分でやる事が偉いわけじゃない。

愛車をベストな状態に保つ事が偉いんです。

何を大前提にするか、ちょっと考えてみてもイイんじゃないかなと。

そんな事を思う今日この頃ですよ。


ではさらば!





2024年3月15日金曜日

思い込みは怖い。


みなさまごきげんよう( ´∀`)

いやー、春ですよ春!

まだ朝は氷点下の日もありますが、日中はポカポカ陽気で気持ち良いっす。

ようやくシーズン到来ですな。

さて、シーズン関係なく年がら年中走り回っている郵政車両の点検です。

昨年、都会の方からやってきたこちらの車両は95,000kmでやってきて

現在107,000kmを刻んでいます。

昨年来た時に整備記録を見ましたら95,000kmの間一度もエアクリーナーエレメント交換無し

プラグとチェーンは3回だけ交換、スプロケも一度も交換されておらず

クラッチも滑りまくりという恐るべきコンディションでした。

で、こちらで12,000km走る間に駆動系なんかは一新したのですが

いよいよエンジンに力がなく、というかエンジンかからないという事でお預かり。

まぁこのエンジン始動不能に関しては大抵カーボン噛みなんですね。

とりあえず圧縮を測ってみます。


400kPaなので基準値の半分以下(基準値は824kPa)で、すぐさま0kPaまで圧力低下。

絵に描いたような圧縮抜けというかカーボン噛みですね。

とりあえず圧縮を戻すべく処置しますが

このレベルだとプラグホールから直接エンジンコンディショナーを噴霧します。

大抵はこの作業の後エンジン始動して、

スロットルボディー側からもコンディショナー噴霧して煙モクモクしてあげれば

とりあえずはOKになります。


さて、コンディショナー注入後に廃液を吐き出させて圧縮チェック。

圧縮は無事に戻りましたが、、むしろ圧縮高ぇ(汁

↑本当はこの段階で気付かなきゃいけなかった


エンジンかけるとアイドリングは安定しているけど高回転が吹けない。

まるでレブリミッターがかかったかECUがフェイルセーフかけてるみたいな症状ですね。

この不自然な高回転のみ吹けないという症状を見て私は勘違いしました。

作業的にはDTC読み出しからのスロットルポジションセンサーリセット

燃料ポンプ交換。

そしてスロットルボディ洗浄、IACバルブ洗浄、IACバルブ初期学習

イグニッションコイル測定、ピックアップコイル測定

スロットルポジションセンサー、イグニッションコイル、ECUを実動車と入れ替えと

ひたすらセンサーや補機類を疑いまくりましたが全部不発。

と、なると残りはアレだ、ヘッド開けるしかない。


で、ヘッド剥ぐってみましたら排気ポートがカーボンでほぼ埋まってる(爆死


奥の方のポートは1/4ほどしか貫通してません。

バルブガイドすら見えない。

っつーか2ストかお前は!

いえね、この症状の場合2ストだと真っ先に排気系の詰まりを疑うんですよね。

大抵チャンバーの詰まりか排気ポートのカーボン積層なのでマフラー外してポート見る。

そもそも圧縮が高い時点で排気ポートの閉塞を疑うべきだったのですが

まさか4サイクルエンジンでここまで激しくカーボン積層しているとは思わなかったのと

インジェクション車ゆえに制御系やセンサーだろうと思い込んだのが間違いでした。

整備状況からして十分あり得る事なんですが、思い込みは怖いです。


もう洗浄液に浸けてどうのというレベルじゃないので

ポート研磨の如くひたすらカーボンを削り落として組み戻したら

高回転まで元気に吹けるようになりまして。

喜ばしいのですが原因究明までに費やした時間や部品交換に関してはご請求できるはずも無く

帳面上は激しく赤字を叩き出してしまいましたが

全ては自分の判断ミスのせいであり

授業料として見れば差し引きプラスかなと。

いやはや、普段手を入れさせてもらっている車両と違い

虐めに虐め抜ぬかれた車両っていうのは勉強になります。

まぁ普通は走行距離からして廃車という言葉がチラついてくるんですが

これでしばらくはまた配達業務に就けるわけで

1kmでも多く距離を刻んでみんなにお手紙を届けてくれれば嬉しいですね。


そんなただの点検のはずが全然話が進まねー状況で

まだ赤いバイクの点検が溜まっておりますが

お次はゼファーを挟みつつ全然ポンコツじゃないJA44の作業を進めていきたいと思います。

※3/16、3/17の2日間は所用により休業となります。

ではさらば!





2024年3月13日水曜日

2号機進捗。

 みなさまごきげんよう。

さてさて我が2号機、正直言うと非常にゆっくりペースで進んでおります。

まぁ納期があるわけでもどっかのShowに間に合わせるわけでもないので

手が空いている時とか、あるのか無いのかわからない定休日なんかにコツコツやっていまして

作業的にはまだまだ地味な下ごしらえ状態で劇的なものは無い。

だけれども1号機に2年もかけていた10年前とは違って

手探りまさぐりで無駄な事をせずに、正しい事を確実に進めていきたいと思います。


バイクを作るうえで重大な要素としてのタイヤ/ホイールのサイズですが

それらが決まればアクスル内部の構成部品を一通り組んでみて

チェーンラインも含めてフレーム幅をどこまで詰められるかを精査していきます。

特に私はアホなので寸法関係はしっかり決めとかなきゃイカンですよ。


キャリパーは1号機と同じAPロッキードのCP2696でパッドはメタリカの予定ですが

タイヤがタイヤなのでデイトナの金あたりでバランスを取るか?

この辺はフロントブレーキの出来でどれだけリアブレーキの負担を減らせるかにもよる。

もっとも、ガッツリ止めれるフロントブレーキにする予定は無くて補助的なものですが

少しだけでもフロントが使えれば、リアの耐フェード性に寄与するかと。

いくら強烈なブレーキを奢っても、タイヤが食わなきゃ意味無いので難しいところですね。


XL系で残念なのは車体右側にスプロケが来ちゃう事なんだよなぁ。

アイアンドラムや油圧ドラム入れたところでスッキリするのは左側。

シンプルを極めるにはアレですが、まぁそこはわかったうえでの4カムモーター。

右にスプロケが来ようが好きなんだからしょーがねーっす。


リアに対してフロントは19インチで1.60のDID鉄Hリム。

タイヤはAVONスピードマスター3.00で1号機と同じ。

と、言うか33ナロー組むとこのセットアップになる。

ALLSTATEで2.75-19が出てるんですけどね。

あんまり細いのもね、ゆっくりとはいえ峠道しか走らないので。


問題はこのリムが綺麗にリクロームできるかだなぁ。

1号機はパーカライズドだからサビの痘痕もきにならないんですが

今度は綺麗目なバイクにするからリムのコンディションは重要です。

リムと言えば10年前は普通に買えてたはずの15インチ40穴リムも

めっきり見かけなくなっちゃってて困ったもんです。


下ごしらえ作業は続いてネックへ。

ネックから元のフレームのパイプを丁寧に抜き取りまして。

それにしてもボロい首だな。。

これまた1号機と同じかよ!

という突っ込みが入りそうですが、ハイ同じですよっと。

鋳物という構造体で、尚且つ造形もボリューム感も丁度良い大好きなパーツです。

そもそもこのネックをわざわざエボスポに使ってるアホは多分私くらいだと思います。

だってこんな超めんどくさい事誰もしませんて。

私がお客様にもよく言う事なんですが、「誰もやってない事」って理由があるんですよね。

理由は2つで格好悪いからかクソ面倒くさいからか。

そもそも多くの人が「誰もやってない」って大好きな言葉だと思うんですが

大事なのは誰がやってるかとかじゃなくて

格好良いかどうかなワケです。

そりゃ格好良いものをパクってドヤ顔するのはどうかと思いますけども。

胸を張れないのは誰かと同じだからではなく、確固たる理由なく何となくやってるからで

私ぁたとえ誰かとカブろうが自分の信じる道を胸張って進みますよ。


んで、私のこの首は70年代の右側にVINナンバーを刻印する台座が設けられたヤツで

ただでさえ不細工なこの平面を、さらに不細工かつ乱暴に車体番号が削られていて

バイクの顔たる右側、今時の言い方であればA面がこんなボロボロでは話にならん。


と、いう事でネチネチと怨念込めて溶接肉盛りして形状を復元というか

反対側と同じように仕上げまして。

不要な造形もスムージングしていきます。

以前はこういう細かい事は後でイイヤという考えでしたが

こういう細かい事は部品単体のうちにやっておくほうが作業性も仕上がりも良いので

早る気持ちを抑えつつ砂鉄を大量生産しております。


そりゃ全体を占める面積とかいう面で後ろ側の補強なんかは後でやりますが。

もうしばらく、ネックの細かい造形作業を続けていきます。

具体的には一番好きな横面のフィンの高さを上げてシャープにしつつ

上側にもフィンを繋げていく予定。

今回はかなりモールディングするんですが、ある程度は鉄で作っておく作戦なんですな。

造形的に生き物のような躍動感、そして機械としての金属感。

どう説明してよいのかわからないんですが、そういうテイストにもっていきたい。

なぜに「いのち」と「機械」を絡め合わせたいという意識なのかは

うーん、機会があれば記述するかもしれません。


フレームの構成部品としてはリアのアクスルプレートも何とかしたいところ。

個人的にはこの三つ葉プレートがあんまり好きじゃないんですよね。

黒塗装ならまだしも、色を入れると形状が主張し過ぎてしまう。

まぁ何が嫌いとか言うと、それが好きな人からは嫌われるんですけれども

私は好きな理由そして嫌いな理由がハッキリしていれば

他人が何を好んで何を嫌おうが自由でいいじゃんと思うんですがね。

他人の嗜好ベースにその人を自分の中でどんな立ち位置にするか決めるなんて

価値基準や判断基準が狭すぎやしねーかと。


また話がズレていっていますが、アクスルプレート部分は

ソフテイルのコレをベースに改造していきます。

求めている形状に1番近いのと、強度的にもしっかりしているのが決め手ですね。

そりゃビッグツインのアクスルプレートも大好きな造形なのですが

あれは結構肉が薄いのでBUELLモーターの高トルクに耐えられるか不安なのと

エンジンがEVOですからテイスト的にちょっと違うんですよね。

だったらイチから作れや馬鹿野郎!ですと!?

いや、私は単なる改造屋であって創造者ではなく

そもそも何かを創造するような知識も経験もスキルも持ち合わせていないボンクラなので

手に入れたものや好きなものをもっと好きになれるように改造していきますよ。

私はビルダーでもアーティストでもなく、ただの改造屋。

2号機に関しては色々考えた事の答え合わせであり

この10年で自分が何を見て何を得てきたかの確認作業だと。

そう思っております。


ではの!










2024年3月11日月曜日

それはあれだ、どこの製?

 みなさまごきげんにゃお。

コウバ長です。

愛車のタイヤ交換をかましたのに全然皮剥き行けてませんで。

なんなら原付以外の単車に乗ってない私です。

でもでも、いよいよ3月になってスキー場も営業終了したので、、、

次の雨で塩カルが流れたら思いっきり走ろうと思いますです。


さて、思いっきり走るには良いのですが、キチンと止まれないのはBADです。

おぉ、ブレンボの4POTにマロッシの大径フローティングローター!

こりゃさぞかし止まるだろうと思いきや、、、

ブレーキ引きずりというかほぼブレーキかかっちゃって止まりすぎの刑。。


最初はピストンの戻り不良だろうと思い清掃で何とかなるかなと思いましたが。

分解してみると片側のピストンが全く出てきていませんで。


キャリパーの割で見てもローター1枚分くらいキャリパーが内に寄っちゃってます。

通常であればキャリパーサポートはシムで調整できるように余裕をもたせるのですが

このサポートは残念ながら逆方向に余裕が無いので

サポート側を切削しないとクリアランスが確保できません。


ので、サポートのキャリパーマウント部を強度を落とさないギリギリの寸法に切削。

本当を言うとあとコンマ5くらい詰めたかったのですが

そうなるとサポート両面を切削せねばならず。

一度製品として完成しちゃったものを追加工するのはコスト高なので

両面を加工しているとものすごく高額になってしまいます。


キャリパーピストンの動きは僅かに左右均等といきませんでしたが

引きずり無くスムーズに動くようになりましたのでこれでお許しください。

元のキャリパーよりピストンがデカくなり油圧レシオが変わっていますので

フィーリングが気に入らなければマスター交換ですね。

キャリパー交換ひとつでも細かい話ですが

センター出しは非常に重要な作業です。

今やラジアルマウントが当たり前でシムで調整なんてしない時代なんですが。

まぁ拘るお店はホイールのローター取り付け面を切削してセンターを出したりしています。

こういうのってスポーツバイクなんかでは当たり前の事なんですが

チョッパーも同じですので

ブレーキに限った事ではありませんがきちんとした設定は大変重要です。


リアブレーキはパッドが限界ギリギリ。

本当はハイギア組む予定だったのですが

ジレラの独特な構造に加えて、強烈な固着でハブが抜けず、、

私もプロとして(赤字出しながら)できる限り作業しましたが

もうハブを壊すしか道がないところまで頑張って、今回は作業見送りとなりました。

それにしてもプーラーが壊れるほどの固着って一体、、、


パッドは元と同じマロッシで。

何かアレですね、マロッシのパッケージってワクワク感があるというか

どことなく洒落てるのはイタリアンだからですかね?

いや、イタリア製だからという先入観がそうさせるのか?

でも実際ジレラとかいじってるとハブもグリメカ製だったりイタリーブランド品が盛り沢山で

いちいち「おお!」って思う私はミーハーですハイ。


ピストン清掃、パッドピン研磨してホイールも綺麗キレイして組み戻し。

ホイールはセンターナットじゃなくてM8ボルト5本締め。

締め付けトルクに非常に気を遣う設定ですな。

イタリアンって情熱的で陽気なイメージしかありませんが

こういうの見ていると実は結構繊細で真面目なのかなって思ったり。

まぁ物造りにおいて私はチェコとかオーストリアの考え方に共鳴するというか

尊敬の念を抱くんですけれどもね。

いろんな生産国の製品に触れてると色々考えさせられて面白いもんです。


ファイナルギアボックスを清掃してギアオイル交換して完了。

あ、オイルはおフランスのMOTULで申し訳ございません。

アジップにすりゃ良かったか(笑


何やかんやで日帰り作業のはずが大幅に時間食ってしまいつつ無事お渡しできました。

それにしてもこの車両、オーナーが不動状態からここまで仕上げたんですが

この度外装も綺麗に塗り直してもらって良い感じですね。

中身はレーシングクランクと今回断念したハイギア以外はマロッシフルチューン。

オーナーが弄りジャンキーな事もありますが

こういう情熱のこもった車両は私もやっぱ頑張っちゃいますね。

まぁわざわざウチに持って来てくれる人ってのは基本的に情熱ある人たちなので

つまり私は常に頑張らなきゃならないのですが

頑張らせて頂いている事に深く感謝しなければですね。

さて、3月というバイクにおけるハイシーズンを迎えた事で

陸運局は例年の如くダダ混み、入庫車両も増えてきますので

ご用事あります場合は早めのご予約よろしくお願い申し上げますってな

毎度の締めくくりでさらば!







2024年2月29日木曜日

最後のα-14。

みなさまごきげんよろしゅう。 


本日は87年式のGSX-R1100、所謂H型の90年代峠小僧的な未塗装カウル車。。

ってお前のマシンやないかーい!

という突っ込みは有り難く頂くとして、まぁ私の車両ですね。

自分のバイクの記事が続くとどうも遊んでばっかりな感を醸し出してしまいますが

お仕事はちゃんとしていますので、敢えて「お仕事はちゃんとしています」とは言いません。

そもそもお仕事をちゃんとしていないとバイクも弄れないワケで

私はイチ改造屋として自分でもしっかり弄ってしっかり走るというのがポリシーですので

一見遊んでいるだけに見えるかもしれないこれらの作業も広報活動の一環なので

最近SNSで頻発する妙に高圧的なアンチコメントはお控え頂きたくよろしくお願い致します。

あ、当ブログはそういう輩対策でコメント欄を閉じちゃってるんでした( ´ ▽ ` )

言うてもわざわざこんなアングラなブログを閲覧してくれている皆様は

私と同じ感覚の持ち主なのでそんな心配は要らないっていうのが実際ですが。


で、リフトアップして何をしているかと言いますとタイヤ交換です。

記録によると2022年の3月末に走行34,000kmでα-14に交換して

2024年の2月末の現在、走行35,744kmでお役御免。

つまりα-14は2年弱、1,744kmの命でした。

まぁまだ走れるっちゃ走れるんですがね。

私はボンクラライダーなのでタイヤに頼りっきりですから早めに交換しときましょうと。

そこでこの2月にダンロップからQ5Aという新しいタイヤがラインナップされまして。

なんと油冷初期型に対応したサイズもしっかりある。


Q5に対してオールラウンダーという事でAを追加したってな感じっぽく

レースにも走行会にも参加しない私にはこのタイヤがベストなんじゃないか?と。

お値段もα-14とほぼ変わらないので大いに悩みまして。


結局α-14を注文しました( ´∀`)

と、いうのもα-14はQ5Aと統合される形になるっぽく

18インチ は斬り捨て的にメーカー在庫消化次第販売終了というアナウンスがありまして。

だったらQ5Aはいつでも買えるわけだし最後のα-14をむしゃぶり尽くそうじゃないかと。

ライフに関してはタイヤを労る走り方で目指せ3,000km。


2年弱1,744km走ったリアタイヤ。

こうして新品と比べるとやっぱり減ってるんですなぁ。


フロントはサイドが終了気味。

真ん中は残ってるから普通に乗る分にはまだ使える状態。

まぁサーキットユース的には完全に終わってる感じで

こう思うとサーキットガチ勢はホントタイヤにお金かけてますよね。


ところで私はバイク輸送時やジャッキアップ時はフロントブレーキをロックさせますが

これまでは写真右のようなベルトでブレーキレバーを固定していました。

んが、デイトナさんから樹脂製のレバーロックツールが出ていて

ものは試しで購入してみましたが


ワンタッチでバチッとロックできて非常に使い勝手がよろしいです。

一見特殊なアイテムに見えますが

ガレージにバイクを置いておく際も

フロントブレーキをロックさせてリアタイヤに輪止めをかましておくと

地震による転倒も防げますので非常に良いアイテムだと思います。


そんなこんなでお昼休みを使ってサクッとタイヤ交換をかましまして


キャリパーも清掃して後は皮剥きですね。

雨で塩カルが流れてからジックリ皮剥いていきたいと思います。

まぁ3月に突入と同時に郵政点検で15台ほど前後タイヤ交換を強いられるのと

ご予約車両の関係や2号機製作もあるので

2月中にやるべき事は片付けとこうというノリで

大義名分を振りかざして愛車に手を入れましたよってな話ですが

今現在新規お預かりは4月〜となりますので

毎度同じ事を記述して恐縮ですが、早めのご予約をお願い致します。

ってなワケでさらば!